新型コロナウイルス対策をめぐり、日本維新の会が存在感を高めている。維新副代表の吉村洋文大阪府知事が繰り出す独自の対応が注目を集めているようだ。世論調査では政党支持率が2カ月連続で野党トップとなり、政権批判が目立つ野党第一党の立憲民主党と明暗を分けている。
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が9、10両日に実施した合同世論調査で、維新の支持率は7・4%と、4月の前回調査から2・2ポイント上昇。立民(5・9%)を上回り、前月同様、野党の首位に立った。維新幹部は「間違いなく吉村効果だ。持続的なものにしたい」と語る。
吉村氏は大阪府の対応として独自のクラスター(感染者集団)対策や休業要請の解除基準「大阪モデル」などを示した。緊急事態宣言の出口戦略をめぐり、西村康稔経済再生担当相と論争する姿も目立った。
今回の調査を地域別にみると、維新は支持基盤の近畿(46・4%)だけでなく、東海(11・9%)、東京(11・5%)など他の大都市圏でも支持が広がった。維新の支持層の半分以上は安倍晋三政権を「支持しない」と答えており、政権批判の受け皿にもなりつつある。
12日には、維新の遠藤敬国対委員長が自民、公明両党の国対委員長と会談し、経済的に苦しむ学生の支援策として予備費の活用などを提案した。検事総長らの定年延長が焦点の検察庁法改正案への対応も、他の野党とは一定の距離を置く。
一方、立民は新型コロナ対応で目立った成果を上げられず、支持は伸び悩む。福山哲郎幹事長は12日の記者会見で「支持率に一喜一憂しても仕方ない。(維新は)前線で戦う吉村知事がいることが評価につながっているのだろう」と言葉少なに語った。(千田恒弥、千葉倫之)