検察庁法改正、OBも異議 現職は冷静「問題ごちゃまぜ」 





 検察庁法改正案に反対する意見書提出のため、法務省に向かう松尾邦弘元検事総長(中央左)と清水勇男元最高検検事(同右)=15日午後、東京・霞が関

 検察官の定年を延長する検察庁法改正案をめぐり、法曹界からも反発の声が上がっている。元検事総長の松尾邦弘氏(77)ら検察OB14人は15日、改正案に反対する意見書を法務省に提出し、「検察人事に政府が口を出さない慣例が破られる」と主張した。一方で現職の法務・検察幹部からは、国家公務員の定年延長と黒川弘務・東京高検検事長の定年延長問題が「ごちゃまぜになっている」との冷静な声も聞かれる。

 松尾氏らはこの日、意見書提出後に会見し、「(改正案が成立すれば)政権が検察に影響を与える余地が生じるという非常に強い危惧がある」と主張。「特定の検察官の定年延長ありきで、今までにない動きだ」と訴えた。

 日弁連も反対声明を出すなどしているが、現職の法務・検察内には異なる反応もある。ある幹部は「過ぎた話とは言わないが、(1月末に閣議決定された)黒川氏の件と今回の法改正は全くの別物。他の国家公務員と違い、検察官だけ定年延長されないのはおかしい」と指摘する。

 改正案は、国家公務員の定年延長に伴い検事総長を除く検察官の定年を63歳から65歳に引き上げることが主軸。63歳に達した幹部が役職を外れる「役職定年制」には特例を設け、内閣・法相の判断で役職を最長3年延長できるとする。

 最大の問題となっている特例について、検察幹部は「大量任官された世代が高齢となり、今後は定年や役職延長を組み合わせないと人事が回らない」と強調。準司法官ともいわれる検察の人事が政権にコントロールされれば「三権分立を脅かす」との批判に対しては、「定年や役職延長は検察側からの上申に基づくはずだ」としている。

 検察OBの弁護士も「強大な権力を持つ検察の暴走を止めるためにも、一定程度の政権の関与はやむをえない」と指摘。別の検察幹部は「三権分立はお互いが一定程度の関与をすることで権力のバランスを保つ。批判している人たちは完全な独立こそが三権分立だと誤解している」と話した。



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