11月7日の衆院予算委員会において、高市早苗首相(64)が「台湾有事は存立危機事態になり得る」と答弁したことにより、日中関係の緊張が高まっています。この発言は、中国で予定されていた日本映画2作品の公開見合わせや関連イベントの中止といった具体的な影響を生み出しており、民間レベルにまで波紋が広がっています。こうした状況の中、11月18日、お笑いコンビ「フォーリンラブ」のバービー氏(41)が自身が火曜コメンテーターを務める情報番組『ひるおび』(TBS系)で、高市首相の発言に対する私見を述べ、その内容が大きな議論を呼んでいます。
バービー氏、高市首相の「真意」を問う
番組内で日中関係の緊迫化が特集される中、バービー氏は高市首相の発言について、「発言一つでこんな影響ある……。民間とか市民からしたら、予定していた人はたまったもんじゃないかな」と、市井の人々の視点から懸念を表明しました。さらに、「いったん改めて、高市さんに日本に向けてでも真意は聞きたいと思いますね。どういう意図だったのかというのは……。中国側に撤回するより前に、国民に向けて説明してほしいって気持ちはあります」と述べ、首相に対し国民への丁寧な説明を求めました。一人の国民として複雑な胸中を吐露したバービー氏の発言は、瞬く間にネットニュースなどで取り上げられ、その内容を巡って賛否の声が巻き起こっています。
お笑いコンビ・フォーリンラブのバービー氏
ネット上での批判と高市首相の国会答弁
バービー氏の発言に対しては、ネット上で厳しい意見が多数寄せられました。「高市さんは国会で日本国民に向けてわかりやすく説明していますよ。それすら理解できないのならテレビで不用意な発言はやめた方がいいと思います」といった、高市首相が既に国会で説明済みである点を指摘する声や、「答弁の意図は国会で充分に説明してるけど、バービーがちゃんと理解してないだけでは」「芸能人として政治に触れるのは自由ですが、せめて“最低限の下調べ”くらいはしてほしいですね」など、バービー氏の理解不足や下調べの不足を批判するコメントが見られました。
実際、高市首相は7日の衆院予算委員会で、立憲民主党の岡田克也議員(72)から台湾有事について「軽々しく問題を扱っているのではないか」と問われた際、「あらゆる事態を想定しておく。最悪な事態を想定しておくということは非常に重要だと思います」と発言しています。さらに、有事には多様な形があるとしながらも、「それでも戦艦を使ってですね、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます」と詳細に説明しています。また、バービー氏が述べた「中国側に撤回するより前に、国民に向けて説明してほしい」という表現についても、「撤回が前提となっていること自体に違和感を覚える」との指摘もありました。
バービー氏を擁護する声とコメンテーターの役割
一方で、X(旧Twitter)上ではバービー氏の発言を擁護する声も上がっています。「正直この件を芸人さんに聞くのが酷だと思う」といった、芸能人という立場での発言の難しさへの理解を示す意見や、「バービーさんじゃなくてもこれだけ迷惑かけてるんだから国民に説明して欲しいと思うのは当たり前でしょ」「バービーさんは町の声を普通に代弁しているだけでは?」と、彼女の発言を国民の素朴な疑問の代弁と捉える見方もあります。
情報番組において、タレントコメンテーターは専門家ではないからこそ、視聴者に近い立場で率直な疑問を投げかけるという重要な役割を担っています。全ての視聴者が国会中継を視聴し、政府の発言の真意を詳細に把握しているわけではありません。しかし、政治に関する発言をする際には最低限の知識が必要であり、そうでなければ「ズレた発言」として批判の対象になり得るというのも事実でしょう。今回の「台湾有事」に関する問題は非常にセンシティブであり、専門家ですら発言の仕方を間違えれば「炎上」するリスクが高いテーマです。にもかかわらず、自身の意見を明確に表明したバービー氏の姿勢を評価する声も少なくありません。
結論
高市首相の「台湾有事」に関する発言は、日本と中国の関係に緊張をもたらし、日本映画界にまで影響を及ぼすなど、多方面に波紋を広げています。こうした状況下で、著名人が発言することの重みと、それに対する世論の反応は、日本の政治情勢と国際関係への国民の高い関心を示しています。バービー氏の発言は、国民の間にある懸念や疑問を浮き彫りにし、政治的発言の受け止め方、そして情報番組におけるコメンテーターの役割について、改めて考えるきっかけを与えました。今後も、この問題の動向と、それに伴う社会の反応が注視されることとなるでしょう。





