【岩田由記夫の音楽の明日】テクノ生みの親 シュナイダーを悼む

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 クラウトロック(ドイツのロック)を代表するグループであるクラフトワークの創設者、フローリアン・シュナイダーが4月21日、がんのためにこの世を去った。73歳だった。クラフトワークはドイツ語ではクラフトヴェルクと読み、発電所の意味だ。クラシック音楽の教育を受けたラルフ・ヒュッターとシュナイダーによって1970年、デュッセルドルフで結成された。71年、アルバム「クラフトワーク」でデビューし、74年の「アウトバーン」あたりから世界中で注目され始めた。

 クラフトワークの特徴は、それまで実験音楽や前衛音楽で使われて電子音楽と呼ばれていたシンセサイザーを使用したサウンドをポップスやロックとして成立させたことだ。当時のシンセサイザーはアナログ式で、一音ずつ手作業で音を合成していくというやっかいな代物だった。現代のデジタル・シンセサイザーのように鍵盤を弾けば、どんな音も出るというわけにいかなかった。値段も高価で、日本を代表するシンセサイザー奏者の冨田勲氏に生前、インタビューしたとき、彼が日本で初めて導入したシンセサイザーで東京に家が一軒買えたと教えていただいた。

 クラフトワークがヒットしたことによって、日本ではYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)が登場し、テクノポップという音楽用語も生まれた。デビッド・ボウイはアルバム「ヒーローズ(英雄夢語り)」の中にシュナイダーにささげた「V-2 シュナイダー」という曲を残している。その他、ニューウエーブ、エレクトロポップからヒップホップまで、あらゆるジャンルの音楽にクラフトワークの影響を見いだせる。

 創始者が2人ともクラシック出身ということもあり、クラフトワークの多くの楽曲には叙事曲や叙情曲の趣とスケール感があった。しかも曲を構成する音は自らの考案によって合成されたものなので、リスナーを未知の世界へ案内してくれた。シュナイダーの残した功績は大きい。(音楽評論家)

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