自衛隊初の宇宙防衛部隊「宇宙作戦隊」が18日、航空自衛隊内に約20人態勢で発足した。中国やロシアなどが対人工衛星兵器を開発し、宇宙空間の軍事的脅威が高まる中、日本政府は自国の人工衛星を守るための宇宙常時監視を令和5年度に始める予定。作戦隊は米宇宙軍との協力関係構築などの準備を進める。
河野太郎防衛相は18日、防衛省内での隊旗授与式(発足式)で「陸海空に加え、宇宙をはじめとする新領域でもわが国の優位性を確保することが重要だ」と訓示した。初代隊長には阿式(あじき)俊英2等空佐が就いた。
弾道ミサイルの探知、敵の船舶・航空機の位置把握、ミサイルの標的への誘導など、国防に人工衛星は欠かせない。中露は他国の衛星を破壊するミサイルの地上発射実験を実施済み。他国の衛星に衝突するなどして攻撃する「キラー衛星」に関連する技術開発も保有しているとみられる。米政府は宇宙で対決色が濃くなっていると判断し、昨年、宇宙軍を発足させた。
また、地球周辺の宇宙空間には数多くのスペースデブリ(故障した衛星やロケットの破片)が浮遊し、秒速7~8キロで周回している。日本の衛星に対する攻撃やスペースデブリの衝突を回避するのが宇宙監視活動の目的だ。
防衛省は5年度の宇宙監視の本格化に向け、山口県山陽小野田市にレーダー施設を建設し、宇宙情報を集約するシステムを空自府中基地(東京都)に整備する。隊員は100人態勢に拡充する。8年度までに宇宙監視衛星を打ち上げる計画もある。
米宇宙軍や国立研究機関「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)などには作戦隊員を派遣する。連携や情報共有の仕組みを構築しながら、宇宙の知見を学ばせ人材を育成する。(田中一世)