【ニューヨーク=上塚真由】日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告のレバノン逃亡を幇助(ほうじょ)したとして、米当局に逮捕された元米特殊部隊員ら2容疑者が20日、米東部マサチューセッツ州の連邦裁判所によるオンライン審理に出廷した。容疑者らは今後の日本への引き渡し手続きなどについて説明を受けたが、検察官によると、日本はまだ正式に引き渡し要請を行っていないという。
出廷したのは、同州に住む米陸軍特殊部隊グリーンベレー元隊員のマイケル・テイラー容疑者(59)と息子のピーター・テイラー容疑者(27)。
東京地検が2人の逮捕状を取っており、日米は犯罪人引き渡し条約を締結している。米司法当局は裁判所に提出した文書で、逮捕は日本政府の要請に基づくもので、日本側が身柄引き渡しを求める手続きを行うとの見通しを示した。
検察側の資料によると、両容疑者は3月にレバノンから同州ボストンに入った。米当局は5月6日に逮捕状を発行していた。ピーター容疑者は20日にロンドン経由でボストンからレバノンに行く航空便を予約しており、出発前に逮捕されたという。検察側は両容疑者について逃亡の「専門家」と指摘。逃亡のリスクが「極めて高い」として保釈を認めないよう求めた。
資料では、両容疑者の役割も詳述。ピーター容疑者は昨年7~12月にゴーン被告と少なくとも7回面会し、逃亡前日に着替えのためのホテルの部屋を確保。マイケル容疑者は、新幹線で東京から大阪まで移動する被告を護衛し、関西空港近くのホテルで大型ケースの中に被告を隠し、空港の保安検査場を通過させたという。
東京地検は今年1月、ゴーン被告の不法出国の手助けなどをした疑いで両容疑者ら3人の逮捕状を取っていた。