全人代の香港抑圧審議に「一国一制度だ」と反発 デモ再燃必至





中国全人代の開幕式に臨む習近平国家主席(左)と李克強首相=22日、北京の人民大会堂(共同)

 【香港=藤本欣也】22日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)で国家安全法を香港に導入する案が審議されることについて、香港の民主派は激しく反発し、言論や集会の自由が認められた香港の「一国二制度」は「正式に一国一制度になってしまう」と危機感を強めている。インターネット上でも抗議デモが呼びかけられており、22日午前の香港株式市場は全面安の展開となっている。

 香港立法会(議会)の陳淑荘議員(民主派)は21日夜記者会見し、昨年、大規模な反政府デモを招いた逃亡犯条例改正案を例に、「(中国当局は)昨年の教訓をくんでいない」と指摘。200万人規模の反対デモを引き起こした逃亡犯条例改正案はそれでも立法会で審議したものの、「今回はそれすらも必要ない」と中国当局を批判した。

 立法会では最近、中国国歌への侮辱行為を禁止する国歌条例案をめぐり親中派と民主派議員が全面的に対立、乱闘騒ぎも起きている。審議が予定される今月27日には、同案に反対する若者らが立法会の建物を包囲する計画もある。

 香港政府は、新型コロナウイルスの感染防止策として続けている「9人以上の集会禁止措置」で取り締まる構えだ。しかし28日には、国家安全法を香港に導入する案をめぐり全人代で採決が行われる予定で、大規模な反政府・反中国共産党デモが再燃する可能性も取り沙汰されている。

 香港のミニ憲法である基本法は23条で、「香港は自ら国家分裂、反乱扇動、政府転覆などの行為を禁じる法律を制定しなければならない」と定めており、香港政府は1997年の返還後、国家安全条例の制定に向けた動きを進めてきた。しかし中国への民主化要求デモや抗議デモが取り締まり対象になる恐れがあるとして、市民の間では国家安全条例への根強い反発があり、2003年には主催者発表で50万人規模の反対デモが起きている。

 「返還後、最も争いのある条例を今回のようなやり方(香港の立法会の審議を経ない方式)で立法化するのは香港人を全く尊重していないに等しい」(陳議員)といった不満の声が香港で広がっている。



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