政府が27日に閣議決定した令和2年度第2次補正予算案では、新型コロナウイルス感染拡大で苦境に立つ農林漁業者向けの新たな支援策として、上限額を150万円とする「経営継続補助金」の創設を盛り込み、200億円を計上した。新型コロナの逆風を乗り越える農林漁業者の取り組みを後押しすることで、農業をやめて他の職業に就く「離農」を阻止する狙いだ。
飲食店の休業や訪日外国人客の激減が重なり、農林水産物は高級ゾーンを中心に販売不振や価格下落に見舞われ、収入減に直面する農林漁業者は少なくない。緊急事態宣言は全面解除されたが、国産の農林水産物の需要回復には「ある程度時間がかかる」(江藤拓農林水産相)との声は多い。
離農が進めば、国内の生産基盤が損なわれる。このため、経営継続補助金を通じ、販路の回復や開拓、事業の継続や転換に向けた機械や設備の導入を支える。その上で、消毒や換気設備の導入といった感染防止対策にもつなげてもらう。
農林漁業者は、農協などの支援のもとで経営計画をつくり応募。審査に通った後、経営計画に盛った取り組みが完了したと確認できれば補助金が交付される。
上限額にあたる150万円の補助を受ける場合、自己負担は約33万円となる。
4月末に成立した2年度第1次補正予算に盛り込まれた新型コロナ対策の「持続化給付金」は、個人・法人を問わず、農林漁業者も対象となる。一方、小規模の商工業者を対象とする既存の「持続化補助金」は活用できないという課題があった。経営継続補助金は、持続化補助金の「農林漁業版」と位置づけられる。
2年度第2次補正予算案ではほかに、価格下落が顕著な肉用子牛の生産者を支援する奨励金を盛り込み、108億円を計上した。