【ニューヨーク=上塚真由】新型コロナウイルスによる米国の死者は累計で10万人を超えたが、実際の数は報告よりも多い可能性が指摘されている。実態の推定は困難とされるが、近年の水準と比べると、今年は新型コロナと報告されたケースを除いても、死者数が大幅に増加している。
米ジョンズ・ホプキンズ大の28日午後の集計によると、新型コロナによる米国の死者数は10万1573人で、世界の3割弱を占めている。増加ペースは4月のピーク時と比べると鈍化したが、米疾病対策センター(CDC)は28日、6月20日までに11万5千人まで増えるとの予測を示した。
ただ、実際には発表されている数字よりも多いとの見解が一般的だ。感染拡大初期には検査態勢が整わず、診断を受けずに死亡したケースや、持病で死亡した場合、感染が見逃されたケースなどが予想されるためだ。
被害の実態を推定する指標として、今年の死者数が近年の水準をどれだけ上回ったかを示す「超過死亡」が注目されており、米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国では3月15日~4月25日の「超過死亡」が6万3700人に上った。この期間に報告された新型コロナによる死者数は4万7430人。残る約1万6300人は新型コロナによる死者に含まれていない。
トランプ政権の新型コロナ対策チームのファウチ国立アレルギー感染症研究所長は今月12日、「何%かは分からないが、実際の死者数は報告数よりもほぼ確実に多いだろう」と指摘。「第2波」への警戒が強まる中、これまでの感染抑止策の効果を検証するうえでも、被害の実態把握の必要性が高まっている。