1日から新型コロナウイルスの感染拡大を受けた休業要請が全国各地で大幅に緩和される中、多くの企業が手探り状態で在宅勤務態勢の見直しに乗り出した。在宅勤務はもともと非常時の取り組みとしての位置づけのため、緊急事態宣言解除後の正常化は既定路線。しかし社内での感染拡大は引き続き大きなリスクで、企業からは在宅勤務を可能な限り続けたい本音ものぞく。また、在宅勤務の恒常的な導入を目指す企業もあり、コロナ後の新しい働き方を現実のものにする動きも出ている。
「可能ならば今まで通り在宅勤務を続けてほしい」
在宅勤務態勢の緩和に乗り出したある商社の担当者は今後の働き方についてこう打ち明ける。
在宅勤務などの仕組みはもともと非常時の対応を定めた「事業継続計画(BCP)」の一環であるケースが多い。このため宣言解除後は通常業務への復帰が大前提だが、通勤時やオフィスでの「密」を避けるためには在宅勤務を最大限活用する必要もある。
このため各社の勤務態勢正常化の動きは段階的だ。丸紅はこれまでの「原則出社禁止」の方針を「原則在宅勤務」に切り替え、「原則在宅勤務」としていたホンダは「在宅勤務推奨」に変更した。トヨタ自動車も在宅勤務の位置づけを「原則」から「必要に応じて」に改めた。
伊藤忠商事は通常勤務に戻してはいるが、引き続き在宅勤務や時差出勤を奨励する。また、混雑しやすい社員食堂の閉鎖を続けるなど、感染拡大前への復帰にはほど遠い。
在宅勤務や出社の割合に数値目標を定める企業もある。NTTはこれまでは総務、経理、人事など内勤者の約9割が在宅勤務してきたが、この割合を5割以上とする方針。キリンホールディングスは出社人数上限を3割に設定した。三井物産も部署ごとの出社比率を最大5割に抑える。
一方、今回の新型コロナの感染拡大を機に積極的に在宅勤務を制度化する動きも出てきた。