【主張】G7の延期 拡大より結束を優先せよ

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 トランプ米大統領が、6月下旬にワシントンで開催予定だった先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)を9月以降に延期する考えを示した。

 G7の枠組みを「極めて時代遅れだ」とし、ロシア、オーストラリア、インド、韓国を加えG10またはG11に拡大したい意向も示した。中国問題を議題にしたいのだという。

 今年のサミット議長国・米国が判断したのであれば延期はやむを得ない。一方で、トランプ氏がG7をけなし、安易な拡大を唱えるのは極めておかしい。

 対中包囲網の形成という問題意識は理解できるが、進め方が間違っている。米国以外のG7各国は戸惑うだろうし、G10やG11を性急に作ったとしても足並みはそろうまい。まずはG7が結束して世界の課題に取り組むべきだ。

 6月下旬の開催をめぐってはドイツのメルケル首相が欠席の意向だった。他にも出席に消極的な首脳がいたとされる。新型コロナウイルス感染症への対応に忙しいとしてもメルケル氏の欠席方針は残念だった。ただ、欠席の意向にはトランプ政権とドイツが通商問題などで対立してきた事情も反映しているのではないか。

 今回のウイルス禍について、トランプ政権が中国政府や世界保健機関(WHO)の対応を問題視しているのはもっともだ。中国による南シナ海の軍事化を批判し、ファーウェイ(華為技術)などによる中国のデジタル覇権に待ったをかけている点も妥当だ。

 問題は、トランプ政権が、米国の伝統的同盟国であり世界の政治経済に影響力をもつG7各国を差し置いて新たな外交方針を打ち出すことである。

 G10やG11で対中包囲網を築こうとしても、米国以外のG7各国以上に中国との関係を重視してきたロシアや韓国が簡単に応じるわけがない。ロシアの再加入は、G8から外された契機となったクリミア併合を容認することになってしまう。韓国は対日関係で国際法をたびたび無視し、北朝鮮に接近しようとしている。

 G7サミット枠外の一時的な招待国とするならともかく、新たな枠組み作りは乱暴すぎる。経済政策を含め合意形成が難しい20カ国・地域(G20)サミットの二の舞いになるだけだ。安倍晋三首相はトランプ氏に対し、G7の結束優先を働きかけてもらいたい。

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