楽天は3日、第5世代(5G)移動通信システムの通信ネットワークについて、クラウドを使った「仮想化」と呼ぶ新技術を採用したシステムを来年にも海外で販売する方針を示した。NECとシステムの中核を担う設備の共同開発を進め、提供先のニーズに沿った機能を提供していきたい考えだ。
同日会見した三木谷浩史会長兼社長は、5Gシステムの海外販売ついて「多くの通信会社や外国政府と話を進めている」ことを明かした。また、携帯分野でもクラウドを使った通信ネットワークへの移行が進むとの見方を示し、「競合に比べ先駆けられるメリットがある」と指摘した。
仮想化技術はクラウドを利用することで、通信網に使う基地局や中継局の設備を従来の高価な専用機器ではなく、安価な汎用機器にしても同等の機能を持たせられるのが特徴だ。これにより、初期投資や運用費を3~4割削減できるという。
楽天は4月に始めた4Gサービスで世界で初めて仮想化を通信網に全面採用した。5Gでも同様の仕組み採用するが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でサービス開始時期は当初予定した6月から3カ月延期している。
5Gシステムは運用実績が乏しい中での海外販売になりそうだが、楽天モバイルの山田善久社長は「かなりの問い合わせをもらっており、来年のどこかで見込みが立ってくると思う」との見解を述べた。