【北京=三塚聖平】日系自動車大手4社の、中国市場における5月の新車販売台数が4日、出そろった。市場回復や販売活動の本格化を受け、トヨタ自動車、日産自動車、マツダの3社が前年同月比でプラスを確保し、ホンダもほぼ前年並みの水準にまで減少幅を縮めた。新型コロナウイルスの流行を受けて大幅な販売悪化に苦しんでいたが、各社とも回復傾向が鮮明になっている。
日産が4日発表した5月の新車販売は前年同月比6・7%増の13万16台だった。4月(1・1%増)から伸び率を拡大させ、2カ月連続のプラスを達成した。乗用車に加えて小型商用車の販売も好調で、同社は「回復傾向に一層の弾みをつけた」とみている。
トヨタとマツダは、いずれも5月に2桁の伸び率を記録した。トヨタは20・1%増の16万6300台で、4月(0・2%増)を大きく上回り2カ月連続のプラスとなった。昨年10月に新型車を投入した多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」などの販売が好調だった。マツダは31・6%増の2万2886台。5月上旬の連休の客足が好調だったといい、2カ月連続でプラスを維持した。
一方、ホンダは1・7%減の13万4230台だった。主力の「シビック」の販売が2万台を超えるなど回復傾向を示しており、4月(10%減)から減少幅を縮小させた。今年後半には前年並みの販売量に戻すことを狙っている。
新型コロナ直撃を受け、各社とも中国販売は2月を中心に記録的な悪化に見舞われていた。その後、中国国内での感染拡大に歯止めが掛かったことで販売店の客足が伸びているほか、中国政府による販売刺激策もあって回復傾向を見せている。中国自動車工業協会によると、4月の新車販売台数は22カ月ぶりに前年実績を上回っている。
ただ、先行きは楽観できない。5月の好調はこれまでに消化しきれなかった需要が一気に解消されている側面もあるとみられる。また、感染拡大に伴う世界経済の悪化懸念により中国経済の先行きにも警戒感が広がっており、どこまで中国自動車市場の回復基調が続くか不透明感が漂う。中国自動車工業協会は2020年通年の販売について、国内外の感染拡大が抑制される楽観シナリオで前年比15%減、海外で流行が続く悲観シナリオで25%減になるとの見通しを5月に示している。