新型コロナウイルスの蔓(まん)延(えん)で売上高が急減した中小企業などに支給する「持続化給付金」の運営体制を野党が追及している。焦点をまとめた。
Q 疑念を持たれている点は
A 大きく分けて、事業を受託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」に実体はあるか▽協議会による電通への再委託は「中抜き」ではないか▽入札は公正だったか-という3点だ。
Q 協議会は“幽霊法人”なのか
A 平成28年に設立されたばかりで、21人の従業員は全員が電通など企業からの出向者だ。しかし、政府は「協議会は、全体の工程管理など給付金事業で中核的な役割を果たしている」と、実体がないとの指摘を否定している。
Q 再委託は適正か
A 政府から769億円で受託した協議会が電通に749億円で再委託したが、差額について、政府は給付金の振込手数料(15・6億円)などの内訳を公表。実費を確認した上で精算するという。給付金事業にはオンライン申請のシステム構築のほか、全国500カ所に申請を支援する会場を設置して5千人超を配置するなど幅広い業務がある。政府は、協議会や電通、外注先のパソナなどを含む枠組みを「コンソーシアム」(共同事業体)と位置づけ、必要性を強調している。
Q 入札公示前に政府が協議会にヒアリングした
A 協議会は設立直後に経済産業省の事業を受託するなど、政府との関係が近いのは確かだ。ただ、事前意見は他の2者からも聴取しており、そのうち1者は応札に加わった。受注を狙う会社が熾烈(しれつ)な競争を繰り広げる公共工事とは性質が異なるだけに、「事業者が手を挙げやすい仕様をつくる」(経産省)ために事前聴取するルールがあるという。給付金事業では協議会など2者が応札した。