令和2年度第2次補正予算案が、10日に衆院を通過する見通しとなった。同予算案は、安倍晋三首相が5月25日の緊急事態宣言の全面解除にあたり「感染を抑えながら完全なる日常を取り戻していく」とした決意の裏付けだ。企業への資金繰り支援としては「劣後ローンや出資など資本性の資金を供給する」政策も盛り込まれている。中小をはじめとした多くの企業は、融資で当面の“止血策”はできたとしても、コロナの影響の長期化で財務状況が悪化してる。有利な条件で長期的な資金繰りを講じることができる劣後ローンへの期待が高まっている。
融資増加で財務悪化
「資金繰り対策の積み増しと資本性資金の活用などによる金融機能の強化を含む第2次補正予算の編成を行っている」
麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁が5月22日に公表した4年ぶりの共同談話は異例だった。補正予算案の閣議決定を前に経済対策の方向性を示し、政府と日銀が一体となって企業への融資と資本支援に重点的に取り組む姿勢を強く印象付けたためだ。
それを裏付けるように、第2次補正予算では、一般会計の歳出総額31.9兆円のうち、企業の財務基盤の強化策や資金繰り支援の拡充に11.6兆円という巨額の予算が割り当てられた。この予算の中に、劣後ローンの供給を中心とした企業への新たな資本増強支援策が設けられ、1.2兆円が充てられた。
現状、新型コロナの影響で経営が悪化した企業は、銀行など金融機関からの融資を受けて資金を調達し、何とか営業を続けているケースが大半とみられる。
こうした中、経営者が懸念しているのは、一般的に受ける融資は企業の債務として算定されるため、借り入れが増えるほど企業の財務の健全性が損なわれていくことだ。コロナ影響の長期化で売り上げが回復しなければ、借り入れが増え、さらに債務が増える可能性は高い。そうなれば、融資の際に財務状況を重視する金融機関からの追加借り入れは当然、難しくなる。
長期資金で財務改善
こうした状況を打破するために活用されるのが劣後ローンだ。原則として「長期間、償還不要」の融資のため、金融機関が資本と見なすことができる点がメリットだ。財務基盤が悪化している企業にとっては、借り入れることで逆に資本が増えるので、財務状況を改善させられる。