作品見直し、歌手グループ名変更…全米デモがエンタメ界にも波及 





「風と共に去りぬ」に出演したビビアン・リー(右)とクラーク・ゲーブル=1939年、米ロサンゼルス(AP)

 【ニューヨーク=上塚真由】米中西部ミネソタ州の黒人男性暴行死事件を受けた抗議デモが広がる中、エンターテインメント業界も作品の見直しなどの影響が出ている。奴隷制度が残る南北戦争時の米南部を舞台にした映画「風と共に去りぬ」(1939年)の一時配信停止や、警察を扱ったテレビ番組の中止などが相次ぎ、抗議活動への連帯を示す動きが広まっている。

 「人種への偏見が含まれている」。米動画配信サービス「HBOマックス」が9日に発表した「風と共に去りぬ」の配信停止。今後、歴史的背景や差別表現への批判を追記した上で配信を再開し、停止は一時的な措置だが、歴史的文脈を含む古典映画への対応には賛否が噴出した。メディア界では「現代の価値観に合わせ、一時停止は相当」との評価が多い一方、女性司会者のメーガン・ケリー氏は「女性を性的対象とする作品もすべて停止するのか。私たちのもとには、いくつの作品が残るだろうか」と反発した。

 作品をめぐってはこれまでも、白人の目線から奴隷制度を描いているとして批判が渦巻いていたが、ミネソタ州の事件を受けて議論がさらに過熱。黒人脚本家のジョン・リドリーさんが8日付の米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)への寄稿で「映画は南北戦争前の南部を美化し、奴隷制度の恐ろしさを無視している」と批判し、配信中止を求める声が強まった。

 また、米人気カントリーグループ「レディ・アンテベラム」は11日、バンド名を「レディ A」に変更すると発表。「アンテベラム」は英語で「南北戦争前」を意味し、奴隷制度があった南部の文化と関連して使用され、グループは「言葉の持つ意味に思いが至らず、後悔しているし、恥ずかしい」と謝罪した。

 このほか、警察関連の作品にも非難が集中し、米パラマウント・ネットワークは9日、1989年から続く警察密着番組「コップス」の放送終了を発表。同番組は実際の出動現場を撮影し臨場感が人気を博したが、市民団体などから「警察の暴力を美化し、容疑者に人種の偏りがある」と批判が挙がっていた。

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