今年もまた新しいウルトラマンがやってきた。その名はウルトラマンゼット。近年は絶大な人気を誇るウルトラマンゼロ(ウルトラセブンの息子)の弟子に当たるウルトラマンという設定。そのゼットに変身するナツカワハルキを演じる。
「いつか自分も通りたいと思っていた道。ゼットの姿を初めて見たときは、俺が変身するんだ、という実感がわいて震えた。あんな感覚は初めてだった」
4歳上で、ウルトラマンシリーズが好きな兄は「俺もやりたかったなあ」と言いながらすごく喜んでくれたと明かす。その兄の影響で、幼少時は「ウルトラマンティガ」(平成8~9年)が記憶に残っている。ヒーローショーでは「怪獣が怖くて泣いていた」といい、普段は、幼稚園の年長から中学3年までやっていた野球に忙しく、ヒーロー番組にべったりな子供ではなかったが、「風邪などで休むと、親が『ティガ』をレンタル店でレンタルしてきてくれていた」という。
演じるハルキは、対怪獣ロボット部隊「ストレイジ」の新人パイロット。「ストレイジ」のメンバーは「めちゃくちゃ温かくて、もとから知り合いばかりのような現場。スタッフの方も昔からやっている人が多くて、『こういうときにはこうだよ』というアドバイスをくれたり」と表情をほころばせる。共演者の中でも隊長のヘビクラショウタを演じる青柳尊哉(たかや)へ感謝の念を持つ。青柳は28年放送の「ウルトラマンオーブ」にジャグラスジャグラー役で出演していた。「尊哉さんは現場の雰囲気作りもうまくて、新しく入ってきた僕らにもなじみやすい空気にしてくれました」
撮影初日は「しゃがんだときに、衣装のお尻が破れて、現場の空気がサーッと引いた感じになった」というハプニングのスタートだったが、撮影を重ねるにつれ、いろいろな気付きがあった。「(劇中で)分かりやすい表情をすることも多いので、こんな顔もできるんだ、というのも。そこも楽しんでもらえれば」と話す。
新型コロナウイルスによる影響で、撮影も中断を余儀なくされた。世の中は混沌(こんとん)としているが、「ハルキは根底に諦めない心や熱い心を持つ。自分でできることを諦めずにやっていければ、一人ひとりの力が大きな力になる」と、作品に重ね合わせながら、全力で突き進むことを誓ってくれた。 (兼松康)
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ひらの・こうしゅう 平成11年生まれ。神奈川県出身。27年「静岡学園中学校・高等学校」の広告でデビュー。所属事務所の若手俳優ユニット「SUNPLUS」で活躍。舞台「黒子のバスケ」で早川充洋役のほか、スペインで公開の映画「Los Japon」のヒサオ役などで出演。スマホ決済サービス「Jcoin」のCM「キャンプサークル篇」でも注目されている。