【コロナ禍を生きる-ライブ・エンタメ編】3密排除で再開手探り





舞台と客席だけでなく、ボケとツッコミの間にも設置されたビニール幕=6月2日、ザ・スズナリ(東京・下北沢)

 劇場への休業要請が解除された翌日の今月2日。東京・下北沢の人気小劇場「ザ・スズナリ」で、芸能事務所の大川興業によるお笑いライブ「すっとこどっこい~演劇界応援スペシャル~」が、厳重な感染予防対策のもとで開かれた。

 全員が検温し、アルコール消毒、手洗い、マスク着用を徹底。換気は香をたいた煙で空気の流れを確認し、飛沫(ひまつ)感染防止のため、舞台と客席の間だけでなく、舞台上の演者の間もビニールで仕切った。

 同事務所の大川豊総裁(58)は「感染症の現場を取材し、考えられる限りの対策をとった。お笑いは目の前にお客さんがいて初めて成り立つものだから」と話す。

 この日の客席は、前後左右2メートルの距離をとって配置したことで、通常の定員155人のところ、わずか18人で満席に。「正直、採算は厳しい。それでも、対策を取りながら公演ができることを証明したのではないか。小演劇界の第一歩になれたら」。24日には東京都新宿区で公演する予定だ。

ガイドラインに従い

 「示されているガイドラインが現実的かどうかというより、それにのっとった対策を進めざるを得ないということだ」。5月29日の記者会見で、チケット販売大手「ぴあ」の矢内廣社長は険しい表情で話した。

 演劇やミュージカル、古典芸能、オーケストラなど、ライブ・エンターテインメント業界全体が公演再開に向けて苦悩する中、その形態に応じたガイドラインが出そろいつつある。

 新日本フィルハーモニー交響楽団は5月15日、7月開催予定の公演について、他団体に先駆けて独自の感染対策を発表した。

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