トランプ氏、ウイグル人権法案に署名 弾圧関与の中国当局者に制裁





トランプ米大統領=17日、ホワイトハウス(AP)

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は17日、中国新疆ウイグル自治区でイスラム教徒少数民族ウイグル族の弾圧に関与した中国当局者に制裁を科すウイグル人権法案に署名し、同法は成立した。新型コロナウイルス感染の拡大や香港問題で対立する両国の関係悪化に拍車がかかる公算が大きい。

 同法は政権に対し、ウイグル族弾圧に関わった中国当局者らを特定する報告書を180日以内に議会に提出し、資金凍結やビザ(査証)取り消しなどの制裁を科すよう求めている。

 同法はまた、自治区での人権状況に関する報告書を180日以内に議会に提出するよう要請した。

 国連の報告書などによれば、中国当局は2014年以降、100万人以上のウイグル族らを強制収容したと指摘されている。

 トランプ氏はこれまで、中国との貿易協議を進展させたい思惑から中国の人権問題の追及には積極的でないとみられてきた。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が17日伝えたボルトン前大統領補佐官の近著によると、トランプ氏は昨年6月の大阪市での主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の夕食会で中国の習近平国家主席に対し、ウイグル族の強制収容施設は「正しいことであり、建設を推進すべきだ」との趣旨の発言をしたという。

 ただ、トランプ氏は新型コロナウイルスの感染拡大で米経済に甚大な打撃を受けて以降、ウイルス発生国の中国への怒りを募らせ、中国と全面対決する立場を表明。今回の署名で中国が「核心的利益」と位置付けるウイグル人権問題でも中国に厳然と対処していく姿勢を鮮明に打ち出した。

 法案は、上下両院でほぼ全会一致の支持で可決されていた。



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