コロナ感染対策揺るがす性風俗店虚偽広告事件


 大阪府枚方市の性風俗店が新型コロナウイルスをめぐり「全従業員が検査で陰性だった」などとホームページ(HP)で告知していたのは虚偽の宣伝だったとして、大阪府警は24日、不正競争防止法違反容疑で店の経営者らを逮捕した。産業スパイなどに適用される不正競争防止法を適用した異例の判断の背景には、新型コロナへの不安が広がる中、「嘘を宣伝する店が続出すれば、市民が何を信頼すればいいのか分からなくなる」(府警幹部)という危機感がある。

1人も検査受けず

 府警によると、性風俗店「星の王子様」が新型コロナの感染拡大に伴う大阪府の休業要請を受けて休業したのは4月15日からの約1カ月間。約20人の女性を雇っていた店は、月平均約400人の客で計約400万円という売り上げが断たれたとみられている。

 休業要請が続く中で再開を決めた同店は、HPで新型コロナの検査結果に加え、「店内の除菌清掃の徹底」もアピール。再開後は「HPを見て安心して来た」という客もおり、半月で約550人が訪れ、700万円ほどを売り上げた。


「全従業員に陰性診断」などと表示していた「星の王子様」のHP(大阪府警提供)
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 だが、府警の捜査で、実際には従業員らは1人も検査を受けておらず、感染対策も店の入り口に消毒液を置く程度だったことが判明。府警は、HPの文言が同法が禁じる「サービスの質を誤認させるような表示」に当たると判断した。

「性善説でやってもらうしか…」

 府警が同法を適用したのには、感染対策の不備などを直接罰する法律がないという事情もある。

 今回は、同店の違法営業に対して強制捜査に入り、検査をしていないことなどを裏付けることができた。しかし、例えば「十分に換気」「机やいすを頻繁に消毒」として営業する店があっても、行政や警察に確認する強制力はなく、「業界団体を通じて協力を求めているが、感染防止は性善説でやってもらうほかない」(府の担当者)のが実情だ。

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