【経済インサイド】IT活用で飲食店の「3密」回避 ウィズコロナの新しい形





虎ノ門ヒルズビジネスタワー内の飲食街に設置された液晶画面。顔認証機能付きカメラが来場者を把握し、画面に来場者数を表示する=11日、東京都港区(岡田美月撮影)

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業・外出自粛を受けて売り上げが激減した飲食店に対し、ITを活用した新サービスや国の規制緩和による側方支援が始まった。飲食店は持ち帰りメニューの販売に力を入れたり、客席を間引いたりしながら、「3密」状態を回避する営業に努めるが、自粛期間中に失った収入を取り戻すことは容易ではない。新型コロナの感染防止と経済活動が並走する「ウィズコロナ」の時代を迎え、飲食の提供以外に収入の柱を持つことなど、「新しい生活様式」への対応が鍵となる。

 6月6日に開業した東京メトロ日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」に直結する虎ノ門ヒルズビジネスタワーの飲食店街「虎ノ門横丁」。創業70年の老舗やミシュランの星を獲得した名店など計26店舗が、よりリーズナブルな価格帯で料理を振る舞う。ここでは、出入り口に設置されたカメラや画面を活用し、来場者による混雑を避けるため、定員を超えた場合に入場制限を実施する仕組みを備えている。

 虎ノ門ヒルズの開発を手掛ける森ビルによると、カメラを通して来場者に発熱があるかどうかを確認する。入退場者数も把握し、画面には場内の滞留人数が表示される。来場客が集中すると防災センターに警告が通知され、警備員が出入口で入場制限を実施する流れだ。

 無料通信アプリ「LINE」にある虎ノ門横丁の公式アカウントを事前に追加しておくと、入場制限が実施された際に整理券が発行される。順番が近づくか、制限が解除されるとLINE上に通知される。人と人との接触を極力避けながら、行列を作らずに入場できる仕組みだ。

 多くの飲食店は混雑を避けるため、座席数を減らし、客席の間に仕切りを設けるなど、追加的な対策を講じている。森ビルが導入した入場制限システムは、飲食店のこうした負担を軽減する効果が期待できそうだ。

 虎ノ門横丁に出店する中国料理店「赤坂璃宮」のオーナーシェフ、譚彦彬氏は「お客さまの交通整理を任せられることはとても良い。交通整理は自分たちにはできないから」と話した。

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