新型コロナウイルス禍で実体経済の回復には時間がかかると予想されるにもかかわらず、日米欧など世界の株価は「V字」回復を果たしつつある。コロナ感染「第2波」への警戒が強まると瞬間的に値下がりするが、すぐに買い戻されるパターンが多く、売りが売りを呼ぶ「パニック相場」にはなっていない。主要国の大規模な財政出動と金融政策が好感されているが、個人投資家の急増が株価を下支えしているとの分析も。国民1人当たり一律10万円が配られる「特別定額給付金」の一部が株式市場に流入している可能性もある。
6月26日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前日比252円29銭高の2万2512円08銭だった。コロナ禍の中、株価は国内外のニュースに一喜一憂するかのように、日々浮き沈みしている。
とはいえ、日経平均は3月19日の1万6552円を底として急反発してきた。6月8日には早くもコロナ前の水準である2万3000円台を回復した。緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開し始めたことが早期回復の要因と考えられる。
世界全体の株価の動きを示すMSCI全世界株指数も、2月21日比で約9割近くまで戻している。MSCIは、ITバブル崩壊(2000年)やリーマン・ショック(08年)時には高値回復まで6年以上かかっており、コロナ禍での株価回復は異例の速さだ。
半面、実体経済の低迷は続く。国内ではようやく都道府県境をまたぐ移動自粛要請が全面解除されたが、消費はふるわず、世界の多くの国・地域は外国人の入国を禁止・拒否したり、入国できても一定期間の隔離や外出を制限したりしている。
国内では緊急事態宣言の発令と重なった4~6月期の企業業績は相当悪化したとみられる。