日常会話以上の飛沫は考えにくいが…「た」行では確認 都響がオーケストラ分析






 演奏会の再開に向け、専門家や医療関係者の助言を取り入れた楽器演奏時の飛沫(ひまつ)・エアロゾル測定に取り組んだ東京都交響楽団(都響)が、分析結果をまとめた。10種類の管楽器では、通常の演奏時に日常会話以上の飛沫を放出するとは考えにくいと結論付けた。一方、「歌唱」は歌い方や言語の特徴によって、飛沫の飛び方や量に違いがみられる結果となった。

 管楽器の種類ごとに行われた計測では、レーザー光とLEDを用いて粒子や飛沫を可視化する装置と、微粒子計測装置を使用。木管楽器では、キー操作の際や、ベル先からわずかに飛沫が観測された。

 金管楽器は巻かれた管の中に飛沫がとどまる傾向が高かったが、トロンボーンは確認された飛散回数が比較的多く、管をスライドさせて音階をつくる楽器の特性が影響したとみられる。報告書では演奏前後の手洗いや手指の消毒、楽器内にたまる結露水の処理など、より日常的な感染防止習慣の徹底を呼びかけている。

 歌唱では、ドイツ語の朗々とした歌い方よりも、破裂音の多いイタリア語や日本語の「た」行の発音の際に飛沫が確認された。これらの測定結果や都のロードマップなどをもとに都響が策定した行程表では、合唱付きの管弦楽曲は最終段階の「ステージ4」で公演実施と位置づけた。

 データはアマチュアオケや吹奏楽団、合唱団などにも役立ててもらおうと、都響のホームページで公開している。(石井那納子)



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