【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は6月30日、自身の5選出馬を可能にする憲法改正の是非を問う国民投票の本投票日を7月1日に控え、国営テレビを通じ、国民向けに投票を呼び掛けるメッセージを発表した。
プーチン氏はメッセージで、「明日が本投票日だ。みなさんの声が重要だ。改憲はみなさんの承認と支持に応じてのみ成立する」と呼びかけた。
「安定や安全、福祉、人々の価値ある生活は、ただ発展の後に保証される。国家の主権は、われわれの責任、心からの愛国感情、歴史・文化・母語・伝統への敬意、先人が達成したものへの記憶に支えられるのだ」と述べ、改憲はより良い国家づくりのために不可欠だとの認識を示した。
新憲法案は投票者の過半数の賛成で成立する見通し。プーチン氏の過去の任期数を帳消しにして2024年の大統領選出馬に道を開く規定のほか、大統領と議会の権限変更、ロシアの伝統的価値観の重視などの内容が盛り込まれている。
プーチン政権は改憲の正当性を示すため高い投票率と賛成率での改憲実現を目指しており、この日のメッセージもそうした思惑に基づくものとみられる。