東京都知事選は5日、投票が行われ、現職の小池百合子氏(67)が、元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)、れいわ新選組代表の山本太郎氏(45)、元熊本県副知事の小野泰輔氏(46)=維新推薦=らを破って再選を確実にした。「地べたはう仕事を」「強いリーダーシップ発揮を」-。識者からは小池氏の2期目に注文の声があがった。
■財政、インフラ、医療…課題は山積
佐々木信夫・中央大名誉教授(行政学)
「今回の選挙戦は新型コロナウイルス対策や東京五輪という目先の対応ばかりに焦点が当たり、五輪後の都政について全く語られることなく終わってしまった。
今後、東京では五輪延期の後始末にかかる費用の負担、景気悪化による大幅な税収減が予測される上、コロナ対策で貯金に当たる財政調整基金もほぼ底をつき、財政破綻の危機回避ということも考えなければならない。耐用年数がほぼ一斉に寿命を迎えるインフラ対応に加え、都民の高齢化や人口減といった福祉、医療の問題など、手を打つべき課題は山積している。
求められるのは、都民にしわ寄せが生じる行政サービスや事業のカット、人員削減などの行政改革だ。どれだけ膨張している財政を抑えられるのか。それは再選を決めた小池百合子知事の手腕にかかっている。
東京都は規模が大きいとはいえ、自治体行政なので、国政と比べれば地味。現実を言えば、地べたをはうような仕事が多い。東京は広く、小池氏には毎日午前中だけでも良いので3、4時間は現場を回り、そこで意見を吸い上げ、都政にどう生かすのか検討する作業を体系的に進めていってほしい」