休業要請再発令に現実味 小池氏再選…夜の街、県境移動に不安





東京・新宿の歌舞伎町を行き交う人たち=3日夜

 2期目に入った小池百合子東京都知事が直面するのは、新型コロナウイルスの感染再拡大で現実味を増す休業要請の是非だ。政府は経済を著しく冷え込ませる緊急事態宣言の再発令に慎重だが、東京発の流行再拡大を止めるには都が対策を講じる必要がある。景気の先行き不透明感と下押し圧力はさらに強まりそうだ。

 小池氏は6日の記者会見で「今後さらに経済への影響がないような形で、コロナ対策をしっかり進めていく」と強調した。再選後、一斉の休業要請ではなく対象を限った効果的な対策を検討すると表明しており、週内に新型コロナの対策を含む補正予算を編成する。

 念頭にあるのが宣言の甚大な経済影響だ。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストの試算では、新型コロナ発生から宣言解除までの損失規模は34・4兆円に上る。東京都の経済規模は実質国内総生産(GDP)の20%、神奈川、埼玉、千葉の周辺3県を含めれば34%を占め、首都圏再発令のダメージは大きい。

 一方、小池氏は既に都民に対し、不要不急の他県への移動を控えるよう呼びかけている。新型コロナで打撃を受けた業界を支援する政府の「Go To キャンペーン」は夏休みの観光需要が高まる8月に開始する予定だが、国内人口の1割を占める都民が旅行を控えれば盛り上がりを欠く。

 都内ではホストクラブなどの夜の街や会食を通じた感染も目立ち始め、夜間の外出自粛や業種を限定した営業自粛の要請といった感染防止策を講じる可能性もある。ただ宣言期間中に売り上げが激減した企業からは、「これ以上自粛を続ければ倒産する」(都内の飲食店経営者)と悲鳴も上がる。宣言に裏付けられない都独自の要請にどこまで実効力があるかは不透明だ。

 熊野氏は「既に動き出した経済を止めれば都民の痛みは激しい。緩和するには休業補助金も必要だが、都がどこまで踏み切れるか分からない」と指摘する。戦後最大の経済危機から回復するには都内で感染抑制と経済再開を両立することが欠かせないだけに、小池氏に付託された責任は重い。(田辺裕晶)



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