コロナ禍で人と人のつながりが不自由になりがちな今、「小さな手/きずな」というつながりを歌った2曲を、歌手のクミコとミュージカル俳優でもある井上芳雄(よしお)がデュエットで発売した。「今だからこそ、歌の中で手を伸ばし、つながり合いたい」という。
「小さな手」はつんく♂が詞曲を手掛けた。つんく♂が絵本の制作を進める中で、クミコに歌を打診。クミコは「私は子供や孫もおらず、年齢的にも1人で歌うのは妙だと思い、かねがねデュエットしたいと思っていた芳雄さんにお手紙でお願いした」と明かす。井上は自身のコンサートでクミコの曲をカバーするなど、“心の師匠”として接してきたクミコの申し出を快諾した。
「小さな手」は振り付けもある楽しい楽曲。クミコは「こんなに明るい曲とは意外で。年の差のあるデュエットだし、『ちょっと振り付けがあってもいいな』と口を滑らせたらパパイヤ鈴木さんが振りを付けてくれて。歌って踊ることがこんなに難しいとは」と苦笑する。Foorinの「パプリカ」が子供から父母、祖父母世代に広がりを見せたように、「広い世代に届いて」との願いも持つ。
井上は、歌いながら踊るのはお手のものだが、「コンサートで曲を並べると明るい歌が少なかったので、オリジナルで歌わせてもらえてうれしい」と話す。
「今は目に見えるつながりはダメといわれるけど、もともと私たちの仕事はつながりましょうというのが大前提。私の世代にはなじみの薄いYouTubeなども使って発信したい」とクミコ。井上は「未来や次の世代を歌えることがすごくすてき。いろんな思いが詰まっていることを自分の息子たちにも感じてもらえれば」と語ってくれた。(兼松康、写真も)