【ニューヨーク=上塚真由】米国で新型コロナウイルスの感染の再拡大が止まらない。経済活動の再開を急いだ南部や西部の州を中心に急増し、6日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、1日当たりの新規感染者数(7日間平均値)は28日連続で最多を更新。医療体制が逼迫(ひっぱく)しつつある州では都市封鎖(ロックダウン)再導入をめぐる議論も活発化している。
米ジョンズ・ホプキンズ大の6日の集計によると、米国の累計の死者数は13万人を超え、感染者数は300万人に近づいている。特に7月に入って拡大傾向が著しく、米政権の新型コロナ対策チームのファウチ国立アレルギー感染症研究所長は6日、「迅速な対応を要する深刻な状況」にあるとの認識を示した。
新たな感染の中心地となっている南部フロリダ州のマイアミ・デード郡では6日、飲食店やジムなどの再閉鎖を決定した。同郡では3日から夜間外出禁止令も発令された。
このほか、南部テキサス、西部カリフォルニア、西部アリゾナなどの各州で経済再開計画を見直し、バーの営業停止などの措置をとっている。
しかし、経済を停滞させるような厳格な行動制限を再導入することには慎重な州が多い。
米国では5月に新規感染者数が緩やかに減速し、全州で経済活動を一部再開した。その結果、6月の失業率は11・1%と前月(13・3%)と比べて改善したものの、なお第二次大戦後最悪の水準から抜け出せていないためだ。
テキサス州のアボット知事は2日、これまでの方針を撤回し、公共の場でのマスク着用を義務化する行政命令を出した。同州の保守層は義務化に「自由の侵害」と強く反発するが、アボット氏は「テキサスを再び封鎖することなく、感染拡大を抑えたい」と説明し、理解を求めた。
ただ、医療体制が危機に陥れば、都市封鎖の導入も現実味を帯びてくる。
テキサス州の6日の入院患者数(8698人)は5月下旬と比べて約5倍に。メキシコとの国境付近の2つの郡では3日、病床が満杯となり、行政側が住民に外出自粛を呼びかける事態となった。都市部でも「2週間以内に病床が不足する」(地元メディア)との懸念が高まっており、外出制限命令を独自で発令できるよう求める自治体側からの圧力が強まっている。