帰国拉致被害者の地村保志さん父、保さんが死去





拉致された北朝鮮からの帰国を果たした地村保志さん(右)と抱き合う父親の保さん(中央)。左は泣きながら見守る横田滋さん=平成14年10月15日、羽田空港(大井田裕撮影)
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 北朝鮮による拉致被害者で平成14年10月に帰国した地村保志さん(65)の父、保(たもつ)さんが10日、福井県小浜市内で死去したことが分かった。93歳。

 次男の保志さんは昭和53年7月7日、当時婚約していた浜本富貴恵さん(65)と小浜市の展望台にデートに出かけたまま、行方不明となった。同年、2人を含めて、3組のアベックが日本各地で失踪していたが、いずれも北朝鮮による拉致事件だった。

 平成14年9月17日の日朝首脳会談で北朝鮮は拉致を認めて謝罪し、保志さんと富貴恵さんら5人の被害者が生存していると説明。北朝鮮で結婚していた保志さんと富貴恵さんは同年10月15日、日本へ帰国した。

 16年5月22日の日朝首脳会談を経て、夫妻の長男、長女、次男も日本の土を踏んだ。

 保志さんが行方不明になって間もなく、妻、と志子さんが心労などによる脳梗塞で寝たきりとなり、保志さんが帰国する直前の14年4月に死去した。保さんは9年、全国の拉致被害者家族が集い家族会が結成されると署名活動などに奔走。と志子さんの介護を22年間続けながら、救出運動に必死で取り組んだ。

 保志さんら5人の被害者が日本に戻った後も、北朝鮮が「死亡」などと主張した残る被害者の救出に向けて活動に協力していたが、近年は高齢に加え、体調不良を抱え入院するなどして静養していた。

 拉致被害者の親世代では、今年2月に有本恵子さん(60)=拉致当時(23)=の母、嘉代子さんが94歳で死去。横田めぐみさん(55)=同(13)=の父、滋さんが6月に87歳で亡くなっている。



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