ベラルーシ大統領選で“政敵排除” 対抗馬の立候補を却下





ベラルーシ大統領選の対抗馬排除に抗議するデモ参加者を拘束する警察官ら=14日、ミンスク(AP)

 【モスクワ=小野田雄一】8月9日に投開票されるベラルーシ大統領選(任期5年)で、同国中央選管は14日、「欧州最後の独裁者」とも呼ばれ、5期26年にわたって同国に君臨する現職のルカシェンコ大統領(65)ら5人の立候補を承認した。独裁統治を批判し、有力対抗馬と目されたロシア系銀行元頭取のババリコ氏と、ルカシェンコ氏元側近のツェプカロ氏は「要件不適格」を理由に立候補を却下された。

 両氏陣営は「恣意的(しいてき)な政敵排除だ」と反発。国際機関などに不正を訴えるとしているが、出馬は事実上、不可能な情勢だ。8月の大統領選は過去と同様、有力な対抗馬のいない選挙となりルカシェンコ氏の6選がほぼ確実に。ずさんな新型コロナウイルス対応で人気が急落したルカシェンコ氏の危機感が中央選管の決定に反映されたとみられる。

 ロイター通信によると、同国の首都ミンスクでは14日夜、ババリコ、ツェプカロ両氏の排除に抗議する数百人規模のデモが発生。数十人が拘束された。

 ババリコ氏は6月、資金洗浄容疑などで治安当局に拘束された。中央選管は事件などを理由に同氏の立候補申請を却下。ツェプカロ氏に関しても、陣営が集めた有権者の署名の多数を無効と判断し、有効な署名数が立候補に必要な10万人分に満たなかったとした。

 過激なルカシェンコ氏批判で支持を広げた人気ユーチューバーのチハノフスキー氏も5月、警察官への暴行容疑で拘束された。代理となった同氏の妻は立候補を認められたが、影響力低下は避けられない。

 一連の動きについて、ルカシェンコ氏は「大統領選とは無関係だ」とするが、国外の専門家の間では疑問視する見方が圧倒的だ。

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