東京電力福島第1原発事故で全町避難を強いられた福島県浪江町は、事故前からある町立小中学校9校のうち小学校5校と中学校2校を、事故10年を迎える来春、一斉に廃校とする。7校は現在休校中。町民の多くは町に戻らぬまま、生活拠点を移した先の学校に子供を通わせているためだ。町は校舎保存を模索したが、厳しい町財政を圧迫するため断念した。
平成29年3月に一部で避難指示が解除された浪江町は依然、面積の約8割が帰還困難区域で、現在の居住者は事故前の1割に満たない約1400人にとどまる。
事故前は9校に計1700人以上の児童・生徒が在籍したが、今は避難先の全国約500の学校に散り散りに。卒業生らの思い出が詰まった5校は近く解体されることも決まった。事故前の町の面影を残す施設が一度に失われることになる。