フランスが、新型コロナウイルス流行の「第2波」阻止に向け、猛烈な勢いで「ローラー検査作戦」を展開している。マクロン大統領は14日、「現在は週37万件のペースでやっている」と明かした。私自身、検査の徹底ぶりを実感する機会があった。
PCR検査隊は現在、献血のように各地を巡回している。パリ郊外の駅前にテントを見かけ、係員に「だれでも無料で受け付けます。無症状でもOK」と言われたので、受けてみた。名前と連絡先を書き、「同居者はいるか」など簡単な質問を受けた後、綿棒を鼻腔に突っ込む検査に臨む。20分で完了。景品に高級化粧品ブランドの滅菌ジェルをもらった。コロナ対策の奉仕活動で作られた非売品で、プレミアものだ。
その日のうちに電子メールで結果が届いた。ドキドキしながら開けると「検知不可」とある。検査がうまくいかなかったらしい。すかさず当局から電話があり、「明日、お宅まで再検査にうかがいます」という。無症状だから不要ですよと辞退したら、「いや、確認した方がいい」というので、来てもらった。
翌日、若い女性係員が2人で我が家にやってきた。玄関から入るなり、テーブルをアルコール消毒し、ゴーグルや防護服を着用。PCR検査に加え、抗体検査もやるという。こちらは指先にチクっと針を刺して血を採取し、15分で結果が出る。その間、陽性で自宅隔離になった場合に備え、「食事の宅配は必要ですか」「かかりつけ医はいますか? 特にいなければ、経過観察に伺う担当医をこちらから指定します」など、細かく指示をしてくれる。万一の場合もオロオロせずに済みそうだ。
「とにかく早期発見」という政府の意気込みは、すさまじい。11日には、全国の薬局で抗体検査ができるようになった。1回15ユーロ(約1800円)程度。簡易キットなので、医師から「精度に疑問がある」と反対の声も出たが、政令で通した。さらに、下水のサンプル調査も広がる。感染者の排出するウイルスの増減を調べ、感染地域を早期発見しようというわけ。