景気は底打ち、自粛反動と給付金で個人消費伸びる 7月の月例経済報告






 政府は22日発表した7月の月例経済報告で、経済情勢について「新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きがみられる」と判断し、景気は底を打ったとの認識を示した。外出自粛の反動や給付金で個人消費が伸びたことが奏功した。ただ、足元では新規感染者数が再び増加傾向にあり、本格的な回復軌道に乗せられるかは見通せない。

 月例報告は景気判断に関する政府の公式見解を示す報告書。景気の判断の引き上げは2カ月連続で、6月は「極めて厳しい状況にあるが、下げ止まりつつある」としていた。

 個別項目では個人消費を「緊急事態宣言の解除に伴い、このところ持ち直しの動きがみられる」から「このところ持ち直している」へ上方修正。生産や輸出、輸入など14項目中計6項目で判断を引き上げた。

 とはいえ、このまま景気が回復シナリオをたどるとはかぎらない。判断を引き上げる原動力となった個人消費は外出自粛の反動による“リベンジ消費”と一律10万円の給付金というカンフル剤が支える。効果が一巡すれば購買意欲は再び低下する可能性がある。

 コロナ禍により直近6月の輸出額は前年同月比26・2%減、輸入も14・4%減と低迷。設備投資は未だ過剰感が強く、企業は慎重姿勢を崩さない。失業者数も高止まり、九州を中心に被害が出た豪雨も景気にどう影響するか不透明だ。

 このように、疲弊した経済を再始動させる“切り札”が、22日に始まった観光支援事業「Go To トラベル」だった。ただ、感染拡大の恐れから東京都在住者の旅行や東京への旅行や事業の対象外としたことでその経済効果には疑問符が付く。

 大阪府など感染者が多い地域はまだある。こうした地域から全国に旅行者が流入すれば、感染拡大の第2波のきっかけになりえる。仮に現実化すれば経済の緊縮は免れない。一旦は底打ちした景気も、先行きには不安要素が多い。



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