山梨県の長崎幸太郎知事は21日の記者会見で、県職員が新型コロナウイルス対応で作成した私的メモを全て保存するよう指示したと明らかにした。将来、コロナ対応を検証するためとしている。森友学園問題などで公文書管理の在り方が問われる中、行政機関が米国などと同様の文書保存を行うのは異例だ。
知事は「遭遇したことがない新型コロナへの手探りの対応を後に検証することが重要。歴史の審判を受けられるようにしたい」とした上で、「正式な文書はもちろん、個人的なメモに至るまでしっかり保存するようお願いした」と述べた。
山梨県の情報公開条例や行政文書管理規程は国に準じて、行政文書を「職員が組織的に用いるもの」と定義しており、会議などで取ったメモは本人が持っているだけでは対象外だ。
保存した私的メモの情報公開について知事は、私的メモ自体は行政文書ではないが、検証のため私的メモを整理して作った文書は公開の対象とした。
県関係者によると、知事は指示の過程で「公務員が職務中に作成したメモが私的なわけがない」との見解を示し、透明化に積極的な姿勢を見せているという。