日本取引所グループ(JPX)は27日に、東京商品取引所から貴金属やゴムなどの商品先物を大阪取引所に移管する。大阪取引所は現在の金融・証券分野のデリバティブ(金融派生商品)に加え、商品先物も扱う国内初の「総合取引所」に衣替えする。狙いは国際競争力の強化だ。ただ、構想から実現まで13年を要し、その間に海外取引所の存在感が増大。また、原油先物などは移管されないなど課題も残している。(岡本祐大)
「世界標準」に
大阪取引所に移管される商品先物は、金や大豆、ゴムなど14品。これまで大阪取引所は、株価関連の先物など金融のデリバティブのみを扱っていた。
別の口座が必要だった証券先物と商品先物が、1つの口座で取引できるようになる。投資家の利便性を高め、世界の投資マネー呼び込みに期待をかける。
国際的には証券・金融分野と商品分野のデリバティブを一体に扱う総合取引所が主流だ。JPXによれば、世界の商品先物市場はこの15年で取引高が約10倍になった一方、国内だけをみると約6分の1にまで落ち込んだ。利便性の低さや勧誘規制の強化などが要因とみられる。
取引のてこ入れへ、JPXは昨年10月に東商取を子会社化し総合取引所への土台を整えた。清田瞭(あきら)最高経営責任者(CEO)は「取引業者の総力を挙げてマーケットを拡大していけるチャンスが来た」とする。