ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の女性から依頼を受け、薬物を投与して女性を殺害したとして医師2人が京都府警に逮捕された事件で、2人が犯行当日、女性宅に滞在していたのは10~15分程度のきわめて短時間だったことが24日、捜査関係者への取材で分かった。2人が女性と直接顔を合わせたのはこの日が初めてだった。府警は、2人が他人からは把握されないSNSのダイレクトメッセージ(DM)などで女性と連絡を取り合い、周到に準備して犯行に臨んだ疑いがあるとみて調べている。
嘱託殺人容疑で逮捕されたのは仙台市泉区の呼吸器内科医、大久保愉一(よしかず)(42)と東京都港区の泌尿器科医、山本直樹(43)の2容疑者。共謀し、ALSで寝たきり状態となっていた京都市中京区の無職女性=当時(51)=に頼まれ、昨年11月30日、自宅で致死量の薬物を投与し、殺害したとされる。府警は24日、2人を京都地検に送検した。
捜査関係者によると、2人は犯行当日、京都市内で合流。同日午後5時半ごろに女性の知人を装って自宅を訪問した。女性に投薬し、家を出たが、滞在時間は10~15分ほどだった。2人はその日のうちに京都を離れたが、同じ新幹線に乗りながら別々の座席に座ったという。
捜査関係者によると、大久保容疑者と女性は一昨年末ごろからツイッターでやり取りを始めていたが、対面して意思疎通をはかるなどの行為は事件当日まで一度も行われなかったとみられる。また、犯行の詳細に関わることはDMやメールを使っていた可能性があり、府警が捜査を進めている。
事件直前には女性から山本容疑者の口座に約130万円の振り込みがあり、報酬とみられている。