FCバルセロナがこの夏、韓国のサッカーファンを沸かせる一方で、直前には日本での国際親善試合開催を巡る深刻な危機に直面していました。ヨーロッパを代表する名門チームであるバルセロナは、ラミン・ヤマル、ロベルト・レバンドフスキ、ハフィーニャなど、スター選手を多数擁し、15年ぶりの韓国ツアーではFCソウル、大邱FCとの親善試合を予定しています。しかし、その韓国ツアーに先立ち、ヴィッセル神戸との対戦が一時危ぶまれました。この騒動は日本のファンだけでなく、韓国のファンにも大きな動揺を与えましたが、最終的には予定通りの開催が決定し、多くのファンが安堵の息をつきました。
神戸戦、一時中止の危機とファンの安堵
FCバルセロナは今月27日に日本Jリーグのヴィッセル神戸と対戦する予定でしたが、試合の中止が一時発表され、波紋を呼びました。日本の複数のメディア、例えば日刊スポーツなどがバルセロナの来日と試合開催を報じる中、この突然の発表はファンを心配させました。特に、神戸戦が中止になれば、その後の韓国での日程にも影響を及ぼすのではないかと懸念する声も聞かれました。しかし、関係者の尽力と予期せぬ救済によって、バルセロナは無事に日本行きの飛行機に乗り、試合は予定通り行われることになりました。
中止の理由:ヤスダグループの契約不履行
この突然の中止発表の裏には、日本側のプロモーター「ヤスダグループ」による重大な契約違反がありました。バルセロナは出国を翌日に控えた24日、「日本側プロモーターの重大な契約違反が確認された」として、ヴィッセル神戸との国際親善試合の中止を発表したのです。ヤスダグループは、今回の日本ツアーの企画者でありながら、当初バルセロナに支払うことになっていた運営負担金500万ユーロ(約8億6600万円)を、試合の3日前である同日まで送金していませんでした。
ヴィッセル神戸は、昨年創立30周年を迎えて以来、バルセロナの招聘に全力を注いできました。同チームは、バルセロナのレジェンドであり、2018年から5年間活躍したミッドフィールダーのアンドレス・イニエスタ選手が所属していたことでも知られています。チケットの販売が開始されると、一部の視野制限席を除いて全席が売り切れるほどの高い期待が寄せられていたため、試合開催に赤信号がともったことは、ファンにとって大きな衝撃でした。
楽天グループによる窮地からの救済
サッカー・FCバルセロナの日本ツアー中止危機と楽天による救済
この危機的状況を救ったのは、ヴィッセル神戸の親会社であり、日本の電子商取引最大手である楽天グループでした。楽天は、未払いとなっていたバルセロナへの運営負担金を肩代わりすることを決定しました。楽天の創業者である三木谷浩史会長は、ヴィッセル神戸の本拠地である兵庫県神戸市の出身であり、また楽天は2017年から5シーズンにわたりFCバルセロナのメインスポンサーを務めた実績もあります。今回のバルセロナアジアツアーを総括する韓国D-Drive社のハム・スル代表は、「チームとファンのために責任ある決定を下した楽天に敬意を表する」と述べ、その対応を高く評価しました。
疑惑のプロモーター「ヤスダグループ」とは
一方、今回の騒動を引き起こしたヤスダグループは、現在、日本のメディアからの取材に一切応じていません。ヤスダグループは2023年10月に設立されたスポーツエージェント企業であり、大手生命保険会社である「安田生命」(現在の明治安田生命)とは全く関係がありません。しかし、日本の週刊誌「週刊文春」は、ヤスダグループの安田慶祐代表取締役CEOが「過去に自身のことを『安田財閥』一族の子孫だと主張していた」と報じています。この報道を受けて、一部では「実体不明の『ペーパーカンパニー』ではないか」という疑惑も浮上しており、その背景にはさらなる情報が求められています。
まとめ
FCバルセロナとヴィッセル神戸の国際親善試合は、プロモーターによる契約不履行という前代未聞の事態に直面しながらも、楽天グループの迅速な対応により無事開催されることになりました。これは、日本のサッカーファンにとってはもちろん、その後の韓国ツアーを心配していたファンにとっても朗報となりました。しかし、この一件は、国際的なスポーツイベントの誘致における契約の厳格さや、プロモーターの信頼性の重要性を改めて浮き彫りにしました。特に「ヤスダグループ」を巡る疑惑は、今後のスポーツビジネスにおける透明性と責任のあり方について、さらなる議論を提起する可能性があります。
Source: news.yahoo.co.jp