三菱自、2期連続の最終赤字予想 パジェロ完全撤退へ





三菱自動車のスポーツタイプ多目的車(SUV)「パジェロ」

 三菱自動車は27日、新型コロナウイルス禍を受けた令和3年3月期(2年度)の通期業績予想について、世界販売台数が前期比25%減と見込むことなどから本業のもうけを示す営業損益は1400億円の赤字、最終損益も3600億円の赤字との見通しを公表した。最終赤字は2年連続。収益構造を改善するため、子会社「パジェロ製造」(岐阜県坂祝町)の工場閉鎖などを盛り込んだ4年度末までの3カ年中期経営計画も発表。増大した固定費の元年度比20%以上の削減を目指し、3年3月期に約2200億円の特別損失を計上する。

 岐阜の工場閉鎖で、かつての主力車であるスポーツ用多目的車(SUV)「パジェロ」の生産を完全に終えることになる。加藤隆雄最高経営責任者(CEO)は電話での記者会見で「従来の反省に基づきコスト構造改革に取り組むことが最優先。痛みを伴うことも避けられない」と決意を述べた。

 2年3月期(元年度)は最終損益が257億円の赤字(前期は1328億円の黒字)と、燃費不正問題で揺れた平成29年3月期(28年度)以来3年ぶりの最終赤字に転落。開発費や人件費がかさみ4年間で1・3倍に増大した固定費の大幅削減に迫られていた。

 このため、中期計画では、国内工場閉鎖や欧州での新型車投入凍結を決断する一方、成長市場の東南アジアでは新工場も準備するなど「選択と集中」を推進。令和2年3月期は128億円だった営業利益を5年3月期(4年度)に500億円とし、本業の稼ぐ力を示す営業利益率(売上高に占める営業利益の割合)を2年3月期の0・6%から2・3%に引き上げる目標。

 パジェロは元年8月に国内向けを終了し輸出向けのみ生産中。岐阜の工場はSUV「アウトランダー」やミニバン「デリカD:5」も生産しているが、稼働率は低下していた。同工場の約900人(今年3月末時点)の従業員は配置転換などで対応する方向。三菱自の国内完成車工場はほかに岡崎製作所(愛知県岡崎市)、水島製作所(岡山県倉敷市)がある。

 同時に発表した2年4~6月期連結決算は新型コロナ禍が直撃して売上高が前年同期比57・2%減の2295億円、営業損益は533億円の赤字(前年同期は38億円の黒字)、最終損益は1761億円の赤字(同93億円の黒字)。



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