日産自動車は28日、令和3年3月期通期連結業績予想を発表し、最終損益が6700億円の赤字になるとの見通しを示した。新型コロナウイルス感染拡大の影響が本格化する上、構造改革費用をさらに計上するため。最終赤字は2年連続で、6712億円と巨額だった前期に匹敵する規模が続くことになる。売上高は前期比21・0%減の7兆8000億円、本業のもうけを示す営業損益は4700億円の赤字になるとしている。
同時に発表した令和2年4~6月期連結決算の最終損益は2855億円の赤字(前年同期は63億円の黒字)だった。4~6月期の赤字はリーマン・ショック後の平成21年3月期以来、11年ぶり。売上高は前年同期比50・5%減の1兆1741億円、営業損益は1539億円の赤字(同16億円の黒字)だった。新型コロナ禍で、世界販売台数が47・7%減の64万3000台にとどまったことが響いた。
内田誠社長はオンライン記者会見で、通期予想について「構造改革もあいまって大変厳しい内容」と述べた。ただ「(5月発表の)中期経営計画である程度見込んでいた数値」としたうえで、世界販売台数について「まだコロナ影響は不透明だが、遅くとも第4四半期(来年1~3月)には対前年比で少しプラスになると織り込んでいる」と語り、台数減少幅は年内に縮小していくとの見通しを示した。
中期経営計画では、三菱自動車と仏ルノーとの企業連合の協力を得ながら日米中の主力市場に注力してコスト削減を進めることで、営業利益率(売上高に占める営業利益の割合)を令和4年3月期に2・0%以上、6年3月期に営業利益率6・0%以上まで持っていく道筋を描いている。