【ワシントン=黒瀬悦成】米国とオーストラリアは27、28日の両日、外務・国防閣僚による2プラス2協議をワシントンの国務省で行った。両国政府は終了後に共同声明を発表し、中国による南シナ海の領有権主張は「国際法に照らし無効だ」と非難した。
共同声明は、南シナ海で中国が一方的に設定した「九段線」などの主権主張を否定した2016年の仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の判断を支持する立場を表明し、米豪が中国の覇権的行動に対抗していく立場を打ち出した。
米豪はまた、今年4月に米強襲揚陸艦アメリカと豪海軍のフリゲート艦パラマッタが南シナ海で共同作戦を実施したのに続き、南シナ海やインド洋での共同作戦を継続的かつ頻繁に実施することを確認した。
ポンペオ国務長官は国務省での共同記者会見で南シナ海情勢に関し「豪州と連携して南シナ海での法の支配を繰り返し主張し続ける」と述べて中国を牽制した。中国への対応に向けて日本や韓国、インドなどと多国間連携を進めることの重要性も訴えた。
共同声明はまた、中国政府による香港国家安全維持法の施行と、新疆ウイグル自治区のウイグル族などの少数民族に対する人権抑圧に「深刻な懸念」を表明。さらに、台湾が「インド太平洋で重要な役割を果たしている」とも確認し、台湾が世界保健機関(WHO)などの国際機関に参加することを支持する立場も改めて明確にした。
協議には、米政府からポンペオ氏とエスパー国防長官、豪政府からペイン外相とレイノルズ国防相が出席した。