命に関わる深刻な虐待への対応から子育て相談まで役割が集中し、余裕を失う児童相談所(児相)。その中でも子供を守る最後のとりでとして力を尽くすことは不可欠で、警察と連携して機能を補う取り組みが模索される。
その一つが、児相が子供の一時保護や家庭への立ち入り調査などをする際に、警察に同行を求める制度だ。児相が苦手としてきた強制的な介入をスムーズに行うことが狙いで、平成30年度は全国で398件の援助要請が行われた。
情報共有も進む。30年7月の国の通知で、少なくとも虐待によるけががあったり、一時保護を解除したりするケースは、児相が警察に情報提供することがルール化された。
例えば大阪市の児相「こども相談センター」では、事件性が高いと判断する事案はすぐ通報するほか、自ら把握した虐待事案(年間約2千件)の約4分の1にあたる、けががあるなどの事案も数日以内には大阪府警と対応歴を照合する。
反対に府警が先に通報を受けた際も、児相が把握している家庭かをすぐさま問い合わせ、虐待の疑いがあれば児相に通告。双方向の連絡で情報を共有しようとしている。
同センターはさらに、令和3年度から、虐待事案だけでなく、虐待なしと判断した事案も合わせた全ての概要リストを、毎月府警に提供する「全件共有」を行うことを決めた。
低リスクでも
「全件共有」と呼ばれる取り組みに踏み切る自治体は、全国でも増えている。