<W解説>日韓の新たな火種「ベルリン平和の少女像」、本当に“元慰安婦”の象徴なのか?


<W解説>日韓の新たな火種「ベルリン平和の少女像」、本当に“元慰安婦”の象徴なのか?

「平和の少女像」には、韓国人の想像する元慰安婦が「形状化」されている。いや、逆にこの像が元慰安婦の「イメージ」を韓国人に形状化してきたかもしれない。

I Can Speakのプロフィールと写真

 少女像はユン・ミヒャン(尹美香)氏と似ているとの意見もある。元慰安婦“支援”の社会運動団体「正義連」(正義記憶連帯)を代表してきた経歴が認められ、韓国与党の比例代表として国会議員になった人物であり、日本でも有名だ。彼女本人もSNSに少女像のミニチュアと一緒に撮った写真を載せながらで自ら「似ていませんか?^^」と語った事がある。少女像のモデルは彫刻家の娘だったらしい。

 韓国映画「アイキャンスピーク(I Can Speak)」などを通じて有名になった元慰安婦イ・ヨンス(李容洙)氏から不正疑惑を“狙撃”され、ユン・ミヒャン氏は横領・背任・詐欺など8件の容疑で韓国検察に起訴されている。

 その間、ドイツ・ベルリンでは「ベルリン平和の少女像」が騒動となっている。少女像は先月28日、ベルリン市のミッテ区の許可がおりて区内の公園に設置された。1年予定で設置を許可したミッテ区だが、日韓の間で問題になり、1週間ほどで撤去命令を出したのだ。

 この少女像の設置は、ユン・ミヒャン氏と関係の深い現地の韓国人団体が中心となって”女性人権”運動として展開された。日本側は外交ルートで撤去を要求したと推定されている。

 除幕式から撤去命令までが1週間、その命令に対して仮処分申請をするまでは1日間かかった。これも日韓の”素早さ”の差なのか。その間、ベルリン市民団体等からの反発デモも伝えられている。現在、撤去命令は効力が停止し、ひとまず「現状維持」となった。

 日本と韓国は徴用工訴訟でも火花を散らしてきた。日本の「ホワイト国除外」は韓国では「輸出規制」の報復と解釈された。韓国の「GSOMIA」現状変更は日本では報復と解釈された。この「GSOMIA」の件は米国の「三角同盟」への強い意思により戸惑い、日本製品の不買運動「NO JAPAN」も「NINTENDO」や「SONY」などの“代替不可能な日本製品”により「選択的な不買」に色褪せている。韓国のプライドに“傷”が付いたのだ。

 この流れで見ると、今回の「ベルリン平和の少女像」騒動は、韓国にとって日本を揺さぶる”材料”となっている。ユン・ミヒャン氏の”業績”になりそうで、起訴状態の彼女には復活のチャンスとなっている。

 但し、勝手に“戦場化”されたドイツのベルリン市からすると、たまったものではない。日韓両国の対立に巻き込まれ、市としても何らかの対策に乗り出さなければならない。もし、この問題が長期化すれば、日韓問題の火種がなぜかベルリンに残されてしまう。ベルリン市としては、意味がわからない状態にまで陥ってしまう可能性もあるのだ。

 もしベルリン市側が今回の少女像を撤去したら、韓国はドイツに対して抗議の声を上げるはずだ。韓国ではドイツ製品不買「NO GERMANY」運動勃発や「アンネ・フランク少女像」が建てられるかもしれない。

 反対に設置したままにすると決定した場合は、日本側から大きな非難を浴びることとなる。「外交ルート」が騒がしくなり、ドイツで半導体生産に不可欠な日本産の「フッ化水素」が消えるかもしれない。

 その間、ユン・ミヒャン氏は”大復活”を成し遂げている。300人の韓国国会議員の中から113人を動員し、ドイツ大使館に「少女像の撤去反対」の書簡を出した。中には野党の議員も含まれている。今の韓国政権が動員できるのは与党議員180人だけであることを考えると、ユン・ミヒャン氏の動員力は凄い。少女像が騒動にならない限り、あり得ない動員力だ。

 今回の起訴結果がどうなるかは予測不能であるが、議員職を維持する場合、ベルリンだけの話ではない。エジプトのスフィンクスの並びに少女像が建てられることもあり得る。

 日韓の新たな火種「ベルリン平和の少女像」は、“元慰安婦”の象徴であるが、それだけではなさそうだ。本人の言う通り、確かにユン・ミヒャン氏と似ているようだ。

 1917年の十月革命(ボリシェヴィキ革命)以降、”イデオロギー”のためにお互いを殺し合っていた人類。その70年余りの”黒歴史”を象徴するのが「ベルリンの壁」だった。その崩壊は1989年。「東西の和解」となった。

 色々な意味で日韓の黒歴史を象徴する「ベルリン平和の少女像」はどうなるのか?70年余りの黒歴史にピリオドを打ち、「日韓の和解」となってくれるのだろうか?



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