世界的な米ジャズピアニストのキース・ジャレットさん(75)が2018年に2度、脳卒中を患い、左手にまひが残っていることが明らかになった。米ニューヨーク・タイムズ紙が本人に取材し、21日に伝えた。「自分がピアニストと感じられない」と語ったといい、同紙は、ジャレットさんが今後公演に復帰することはありそうにない、と伝えた。
同紙によると、ジャレットさんがニュージャージー州の自宅から電話取材に応じた。18年2月に最初の、同年5月に2度目の脳卒中を起こしたという。本人は「左半身がまだ部分的にまひしている。杖を使って何とか歩けるが、ここまで回復するのに1年か、それ以上を要した」と話したという。
ジャレットさんは、両手のピアノ演奏を聞くと「身体的にもどかしくなる」といい、「なぜなら私は(同じように)弾けないし、そこまでの回復の見込みもないからだ。左手の回復で最も期待できるのは、たぶんコップを握ることだろう」と語ったという。
同年3月に予定されていたニューヨーク・カーネギーホールでの公演は2月下旬にキャンセルされた。同ホールは当時、「健康問題が理由」「振り替え公演なし」と発表しており、ファンの間では懸念する声が絶えなかった。日本でも人気が高く、繰り返し来日コンサートを開いてきた。(ワシントン=金成隆一)