「日本も一度行くには行かなければいけない」。
李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長がベトナム出張を終えて23日に帰国し、今後の出張計画を問う記者にこう語った。李副会長は「まだ具体的に決まっていない」とし、時期には言及しなかった。しかし次の出張先として日本を考慮しているだけに、年内に訪問すると予想される。これは新型コロナウイルス感染症と司法リスクにもかかわらず、グローバル経営を継続するという意志を表したものと分析される。
◆5G核心市場の日本、李副会長が自ら関与
李副会長が日本訪問を予告したのは、日本が5G分野でサムスンの核心市場の一つであるからだ。日本では今年開催予定だった東京オリンピック(五輪)開催に合わせて3月から3大通信事業者(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)が5G移動通信を商用化した状態だ。サムスンも5G分野で日本国内の影響力を高めている。昨年、日本2位の移動通信事業者KDDIと20億ドル(約2200億円)台の5G装備供給契約をした。これは李副会長が昨年5月に日本を訪問し、経営陣と会って協力案を議論した後に結ばれた契約だ。
日本は半導体の素材・部品・装備の主な需給先でもある。李副会長は昨年7月の日本の輸出規制強化直後にも日本を訪問し、素材・部品・装備の供給を点検した。出張直後には緊急社長団会議を開き、短期対策および中短期対応戦略を議論した。当時、李副会長は「動揺なく市場をリードしていけるよう力をつけよう」と述べ、コンティンジェンシープラン(非常計画)を要求した。これを受け、輸入先多角化などの代案が用意され、生産の支障にはつながってはいない。
◆日本の入国制限緩和に水面下で努力
李副会長の日本訪問有力説は、9月に富田浩司駐韓日本大使に会った当時から出てきた。当時、李副会長は富田大使に日本の入国制限措置による悩みを話したと伝えられている。これに先立ち日本政府は3月初め、新型コロナ防疫を理由に韓国に対するノービザ入国を禁止し、発行ビザの効力を停止するという内容を一方的に発表した。
この措置を受け、サムスンだけでなく日本企業と取引する韓国企業は困難に直面した。しかし李副会長と富田大使が会った後、気流の変化が感知された。日本政府は1カ月後の今月6日、ビジネス関係者の特別入国を施行することで韓国政府と合意した。財界関係者は「両国政府の努力があったが、李副会長と富田大使が会ったのが変曲点になったのは事実」と話した。
◆グローバル経営の動き、変数は裁判の日程
李副会長は今年1月にブラジル、5月に中国、10月に欧州とベトナムを訪問した。日本に行く場合、今年5度目の海外出張となる。しかし裁判の日程がグローバル現場経営の変数になるとみられる。現在、李副会長は経営権継承疑惑、国政壟断事件破棄控訴審の2件の裁判を同時に消化しなければいけない状況だ。
22日に経営権継承疑惑裁判の初公判準備期日があり、次の公判準備期日は来年1月に決まった。26日には国政壟断事件破棄控訴審が開かれる。この日も公判準備期日であり被告人の出席義務はないが、裁判所が異例にも李副会長あてに召喚状を送った。李副会長側は裁判所の要求があれば出席する計画という。