韓国側に改めて警告、日本企業の資産現金化「極めて深刻な状況招く」…ソウルで「徴用工」協議


 【ソウル=豊浦潤一】外務省の滝崎成樹アジア大洋州局長は29日、ソウルで韓国外交省の金丁漢(キムジョンハン)アジア太平洋局長と「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)」訴訟問題を中心に協議した。2人が直接対面するのは2月以来で、菅政権発足後は初めて。

 韓国政府関係者によると、金氏は徴用工問題で「日本政府と被告企業が誠意を見せる必要がある」とした上で、韓国で年内に予定する日中韓首脳会談への参加を要請。日本側協議関係者によると、滝崎氏は、差し押さえられた日本企業の資産現金化は「極めて深刻な状況を招くので絶対避けなければならない」と改めて警告し、受け入れ可能な解決策を示すよう求めた。菅首相訪韓の事実上の条件として伝えたものとみられる。

■三菱重工にも公示送達開始…元挺身隊訴訟

 【ソウル=建石剛】韓国の大田(テジョン)地裁は29日、元女子勤労挺身(ていしん)隊員を巡る訴訟で敗訴した三菱重工業の資産の差し押さえ完了に向けた「公示送達」の手続き開始を決めた。原告側代理人が明らかにした。

 差し押さえ命令決定書を一定期間、裁判所のホームページなどに掲示する。12月30日になれば、受け取りを拒否する三菱重工側に届いたとみなされ、差し押さえが完了する。一方、資産売却に対して意見を聞く「審問書」の公示送達は11月10日に成立する見込みだ。

 三菱重工に元挺身隊員らへの賠償を命じた判決は2018年に大法院(最高裁)で確定した。

 韓国人元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)を巡る別の訴訟では、敗訴した日本製鉄の資産の差し押さえが完了し、日本製鉄側は不服として即時抗告している。



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