日帝強制徴用被害者に対する損害賠償判決に応じない戦犯企業、三菱重工業の韓国国内資産の強制売却のため、裁判所が公示送達を決定した。
「勤労挺身隊ハルモ二(おばあさん)と共にする市民の会」は29日、「大田(テジョン)地裁が同日、三菱側に差し押さえ命令(債権差し押さえ命令決定の正本)の公示送達を決定した」と明らかにした。今回の公示送達の効力は12月30日0時に発生する。また、大田地裁は先月7日、売却命令申立てによる審問書の公示送達も決定し、来月10日0時の効力発生を控えている。
公示送達は、訴訟の相手が書類を受け取らず裁判に応じない場合、裁判所の掲示板や官報などに関連内容を掲載し、当事者に伝達したものとみなす制度だ。これまで裁判所は三菱側に訴訟に関する書類を送達したが、三菱側がそれをきちんと受領したかどうかは確認できなかった。原告側の法律代理人は、三菱側がハーグ送達条約による義務を守らず、意図的に送達の手続きを遅らせているとして、裁判所に公示送達による処理を申し立てた。
公示送達の効力が発生するまで、三菱側が意見を示さない場合、裁判所は強制売却の手続きに入ることができる。これに先立ち、ヤン・クムドクさん(91)ら強制徴用被害者と遺族5人は2012年10月、光州(クァンジュ)地裁に三菱重工業を相手取って損害賠償訴訟を起こし、2018年11月、韓国最高裁(大法院)で勝訴確定判決を受けた。最高裁は被害者一人当たり1億~1億5000万ウォン(現在のレートで約900~1400万円)の損害賠償金を支払うよう命じたが、三菱重工業はこれまで全く反応を示していない。
これを受け、被害者らは昨年3月7日、特許庁の所在地である大田(テジョン)地裁に、三菱重工業が国内に特許出願した商標権2件と特許権6件に対する差し押さえ命令を申し立て、同月22日に認められた。被害者らは同年7月、差し押さえた資産の売却命令を申し立てたが、訴訟関連書類がきちんと送達されたかどうか確認できず、関連手続きが遅れた。差し押さえられた資産の債権額は、昨年1月に死亡した原告のキム・ジュンゴンさんを除いた4人の損害賠償額と遅延利息を合わせて8億ウォン(約7400億円)だ。
キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)