朝鮮戦争勃発から70年ということで中国では先ごろ参戦70年の記念行事があった。その際、習近平国家主席をはじめ中国側で「参戦は“帝国主義の侵略”を防ぐためだった」などとして自らの韓国への侵略を否定する発言が相次ぎ、韓国で問題になっている。
問題になっているというのは、参戦を正当化する中国側の“歴史歪曲(わいきょく)”もさることながら、それ以上に韓国政府が中国側にまったく抗議しないので不満と批判の声が上がっているのだ。そこで世論からは、日本相手の歴史問題だとすぐ断固抗議とか非難声明とかいって、しょっちゅう大使を呼びつけているのに…と痛烈に皮肉られている(30日付、朝鮮日報など)。
あの戦争で中国軍は、韓国に攻め込んだ北朝鮮軍を支援して大軍を送り込み、ソウルまで“侵略”している。ところが韓国はこれまで、北朝鮮からも中国からも謝罪・反省をしてもらったことは一度もない。実は韓国は国交正常化(1992年)の時を含め中国の歴史上の加害責任を追及したことがないのだ。
しかし日本に対しては繰り返し公式の謝罪・反省をしてもらっているのにまだ要求し続けている。この無原則さと二重性。いや国際関係とはそういうもので、むしろ日本は、自らの歴史認識に堂々とした中国を見習うべきかも?(黒田勝弘)