バイデン氏の米大統領選挙勝利宣言後に韓国株とウォンがともに上昇した。韓国総合株価指数(KOSPI)は29カ月来の高値、ウォンは22カ月来の高値を記録した。米大統領選挙をめぐる不確実性が減った上にバイデン政権の景気浮揚策に対する期待感も一役買った。米国の金融緩和が続くという見通しでドル安が続いた。
バイデン氏の勝利宣言後初の取引日である9日のKOSPI指数は前取引日より30.7ポイント(1.27%)上がった2447.20で、2018年6月12日の2468.83以来の高値水準となった。指数上昇を牽引したのは外国人投資家と機関投資家だ。この日KOSPI市場で外国人投資家は3331億ウォン相当、機関投資家は3550億ウォン相当を買い越した。
ドル安の見通しで外国人の買いが流入した上に、中国証券市場の上昇も影響を及ぼした。この日の中国上海総合指数は前取引日より1.86%上がった3373.73で取引を終えた。ハイテク株の割合が高い深セン指数も2.19%上がり2015年7月から5年来の高値水準となった。
KOSPI市場でバイデン氏の政策受恵銘柄に挙げられる二次電池と再生可能エネルギー関連銘柄はこの日も大幅に上がった。LG化学は前取引日より1.94%上がった73万4000ウォンで取引を終えた。終値基準で9月4日の74万3000ウォンから2カ月ぶりの高値だ。LG化学はこの日終値基準で時価総額51兆8148億ウォンを記録し、KOSPI時価総額3位に上がった。
有進投資証券のホ・ジェファン研究員は、年末まで証券市場は緩やかに上がると予想した。来年の証券市場見通しも悪くない。ホ研究員は「米国と韓国の企業とも来年の業績への期待が肯定的だが、韓国企業の利益増加速度が米国を超えるものと観測され、韓国証券市場が米国証券市場より良くなる可能性がある」とした。
KB証券のイ・ウンテク研究員は「証券市場にもっと重要なことは政権よりはファンダメンタルズ(基礎体力)。この3カ月間で韓国企業のファンダメンタルズが大きく改善されたのに不確実性のためこれを反映できなかったが、11月にはこれを反映して上がることができる」とした。KOSPI利益見通しも上方修正されたという点が根拠だ。
◇米国経済の不確実性解消、安心は早い
だが不確実性はまだ完全に解消されていないため安心するのは早いという分析も出ている。大信証券のイ・ギョンミン研究員は「最近金融市場があらゆる問題を肯定的に解釈しているだけにKOSPI2400以上では追撃買いを自制する必要がある」とした。
この日、ソウル外国為替市場でドル相場は前取引日終値より6.50ウォンのウォン高ドル安となる1ドル=1113.90ウォンで取引を終えた。昨年1月31日の1112.70ウォン以来のウォン高水準だ。
ウォン高はドル安に伴ったものだ。バイデン政権からドル放出に代表される景気浮揚策がより強力に実施されるだろうという期待感のためだ。市場の不確実性が減ったことも影響を及ぼした。基軸通貨であるドルは安全資産として優遇される。米中貿易対立が最悪に突き進んだり、新型コロナウイルスの感染が大きく拡大する危機が迫った時にはドルも上がった。
NH先物のイム・ジフン研究員は、「バイデン政権発足で露骨な米国優先主義と報復関税政策などから脱皮し、トランプ政権より米中関係が多少融和するだろうという期待が作用した」と分析した。