日刊工業新聞・産業春秋
トランプ米大統領が関税交渉で対日圧力を強めている。自動車への25%の追加関税を維持する意向を示したのに続き、9日が交渉期限の相互関税も税率を30%か35%とし、24%から引き上げる可能性に言及している。
日米の関税交渉は「合意できるか疑わしい」とトランプ氏。日本との交渉に強い不満を抱き、9日までの合意を困難視する。トランプ政権が相互関税の高関税率を一方的に日本に通告してくるのか、威嚇(いかく)にとどまるのか行方を注視する必要がある。
日本にとっては相互関税もさることながら、分野別関税の行方が気がかりだ。中でも自動車への追加関税25%が維持されれば、産業の裾野が広いだけに影響は甚大と言わざるを得ない。
日米はこれまで7回に及ぶ閣僚交渉を重ねたものの、着地点を見いだせない。日本側が対米投資の拡大や農産物の輸入拡大、造船分野での協力などを提示しても、トランプ氏は自動車とコメの貿易不均衡の是正を断じて譲らない構えのようだ。
2026年に米中間選挙がある。高関税政策が米国のインフレを助長し、経済減速となれば、米国の企業・家計の不満が増幅する。早晩、米国世論が政権に政策修正を迫ると期待してやまない。