大阪市長が「8総合区案」を提案へ 都構想否決受け 設置時期は明言せず


大阪市長が「8総合区案」を提案へ 都構想否決受け 設置時期は明言せず

 「大阪都構想」を巡る住民投票の否決を受け、大阪市の松井一郎市長(大阪維新の会代表)は11日、市を残したまま行政区の権限を強化する「総合区」の導入に向けた条例案を、2021年2月議会に提案する意向を明らかにした。維新は市の広域行政を府に一元化する条例案も2月議会に提出する方針。都構想に近い制度改革を立て続けに表明しており、新たな議論を呼びそうだ。

 総合区は行政区の権限と財源を強化する制度で、議会の議決で導入できる。都構想が5年前の住民投票で否決後、公明党の提案を受け、市が八つの総合区に再編する素案を作成。当時の市長は吉村洋文大阪府知事だった。公明がその後、都構想への賛成に転じたため取り下げた経緯がある。

 松井市長は記者団に対し、「吉村市長時代に公明と密に協議してまとめ上げたもので非常に良い案」と述べ、8総合区案を提案する考えを示した。導入の目標時期については「住民の理解を深める必要がある。(23年4月までの)任期中というのは一つの政治家としての責任を持ったスケジュールだが、議会と議論をしながら進めていきたい」と具体的な言及は避けた。

 吉村知事も10日、「8総合区案がふさわしい。ぜひ実現してもらいたい」と述べている。

 総合区案を巡っては、松井市長が5日の記者会見で導入に意欲を示し、「公明が旗振り役をやるべきだ」と発言。公明府本部幹事長の土岐恭生市議は7日、記者団に「総合区の方向を進めていきたいというのは市長の考え方と同じ」と前向きに議論する意向を表明した。市議会は維新と公明で過半数を占めている。

 一方、都構想に反対した自民党も総合区の議論には応じる姿勢を示している。【野田樹、矢追健介】



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